ワニの捕食記

危険です

金木犀の香水

学校の教室で、ふわっと金木犀の匂いがした。どうやら誰かが金木犀の香りがする香水を吹いたらしい。そんな香水があるのかと珍しがるのと共になにか形容しがたい違和感を抱いたのを覚えている。

あれから一年後。最近、太秦周辺を歩いているとふと懐かしい匂いを鼻腔に感じとった。そばの茂みに埋もれかけている黄色く小さい花をポツポツと見つける。

金木犀だ。

なんだか嬉しくなって写真を撮った。

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金木犀の匂いはなんだか独特である。青臭さと優雅さが混ざり、人に「金木犀」というクオリアを与える程の特徴的な香りを醸す。

何故だか人にねえ、今金木犀の匂いがしたねと話しかけたくなるのだ。

そんな匂いを香水にしていいものなのだろうか。なにかの本で、金木犀は本当に少しの期間しか匂いを発さないという話を読んだことがある。それゆえ人は香水を作るまでに愛するのだと思う。なんだか、香水まで作っちゃうのは風流がないなあと感じる。

香水にしたら毎日嗅げるじゃないか。高尚で趣深い金木犀が汚されているような気がしてならない。

刹那的なものほど美しいのではないか、と思う