ひとり
朝より夜派である。
特に、十時以降の人気のない夜が良い。
夜に音楽を聴きながら歩くと、この時が止まれば良いのにと思う。
酔っ払いかくたびれたリーマンしかいない、この京の夜を愛している。
…というか。
私はひとりが好きなのかもしれない。
友達と出かけるのも無論楽しいが、一人好き勝手ふらふら歩いている時の方が生きている感じがする。
深夜の、誰も他人に興味のない排他的な雰囲気が居心地いいのはこれが理由か。
オープンキャンパスを一人で行った時、とてもうきうきした。初夏の天気の良い日、縹渺たる大学構内をてくてく歩いた。
対人関係に悩みがちなこの頃。
一人っていいなと思った。
但しこの「一人」は友達がいるうえでの一人だ。楽しさと気苦労を併せ持つ友達関係があってこそ、一人の自由さが分かるのかもしれない。ありがたいことだ。
夏休みに東京、一人で行ってみようかしらん。
ネタバレ注意
つくづく読み手を嫌な気持ちにさせる小説だ、と思った。
先生は自分の気持ちの矛盾やゆがみ に振り回され、友人を殺したという罪悪感に一生悩み続ける。
Kは孤独が故に、厳格すぎる自身の理念に縛られ、一生苦み続ける。
どちらもジレンマに苦しめられていると感じたし、それの描写は彼らの人生にだけでなく、場面のいたる所で入れられている。
例えば、Kと お嬢さんと 先生とでかるたをするシーン。元はといえば先生がKをお嬢さんと関わらせようとしたのに、このシーンでは先生がKに対して激しい嫉妬をする様が描かれている。
私はこれを読んで、不快な気持ちになったのと同時に共感もした。人の心とは移りやすく、自分の道をつき通すためならどこまでも醜く、残酷になれるのだと実感した。
しかしながら人というのはあくまで理性的な動物であるからして、そうあろうとする意思が他の人より強い先生とKは、その矛盾に悩まされ矛盾に殺されたのだ。
人間の心は罪深いものであるということを ここまで極端に書かれると、不快な気持ちにもなるものである。
この小説を読んでいると私も彼らの陰気臭さに引張られそうになった。
人の心というものはうつろいやすく、時にそれは人を殺すかもしれない。という漱石の忠告としてこの小説を受け取ろうと思う。
在りし日
彼女が手を洗いに洗面所に行ったのを見届けて、はっとした。うちにはハンドソープがないのだ。代わりに、ボディソープがさも当然かのように居座っている。それを受け入れる、そんな家族だ。
彼女は戸惑いそうだな、とぼんやり思う。
何故か、嬉しそうに帰ってきた。
ボディソープの方が保湿力があり手がしっとりするらしい。
別の日、彼女の家に行けば、洗面所にボディソープが置かれていた。
書き殴り
私たちは今日も今日とて入試のために分詞構文やら強調構文やら複雑な文法を学んでいるわけだが、これらを定着させようとネイティブに関係代名詞や熟語を使った英作文を見てもらうと小馬鹿にされる。「いまどきこんな英語使わないよ笑」やら、「ちょっとフォーマルすぎるね笑」やら言われる。
、、、悪いのは使わないお前たちだろうが????
つかえよ!!!昔の人は普通と思って使ってたんだよ!!言語が!!今、ここで!!お前が私の英文をデリートしている、今!!消滅してるんだよ!!!テキストメッセージばっか打ってるからこういう文法とか言語表現が古臭くなるんだよ!!
フォーマルで使いにくい表現にさせてるのはお前たち、アメリカ人だろうが!!!(アンチアメリカではない)
かけよ!!!手紙!!!
まもれよ!!!言語多様性!!!
対人関係と自己分析
当分私は自分自身を人前に晒すことに抵抗がなくならないような気がしている。
これは、自分という存在を人目に晒したからには自分を肯定してほしいという汚い顕示欲の表れな気がするのだ。
そんな虫のいい話があると思うな!と自分に警告したい。でも齢17歳にそこまで逞しくなれないよね…。
以上、対人関係の難しさについて書いてみました。自己分析って素晴らしいね!
海辺のカフカという小説
作家である村上春樹が書いた本だ。
家に同じ作者が書いたノルウェーの森という小説があり、それをぺらぺらと読んでみるとびっくりするほど面白くなかった。という思い出があり、自分には合わない作者かもなと思っていた。
しかし彼が書いた本の中には全世界で読まれている本もあるし、色々な賞を取っている。
そんな有名な作家の本を読んでいないのはどうなのか、と思い「海辺のカフカ」を読むことにした。数ある彼の作品の中でなぜこれを選んだのかは思い出せない。
不思議と、これは読めた。
ノルウェーの森より長いのに。
何故か。
まず、主人公が私と同じか少し下くらいの年齢だったこと。
次に、親から離れて旅をするというロマンのあるストーリーだったこと。
そして、沢山の個性豊かなキャラクターが登場すること。
これらの要素から読むのが止まらなくなった。
暗喩がふんだんに使われ、読んでいてとても新鮮だった。暗号を解いていく要領でページを捲っていくと、止まらなくなった。これが村上春樹を村上春樹たらしめているのかと感じた。
まあまあな反抗期に読んだものだから、親に対する嫌悪感とか未熟な主人公の心情に自己投影した。冒頭、高速バスで移動するところから始まるのだが本当に自分もそのバスに乗っている気分で読んでいた。
ので、高速バスに乗ると必ずと言っていいほどこの小説を思い出す。
読み終わると、理由がわからない涙が止まらなくなった。これはただの私の解釈だが、この上下巻にわたる長編小説は私ぐらいの年代の青少年の指南書なのではないかと思う。
人は死ぬし、主人公も失ったものは多かった。明るい小説とは言えないけれど、だからといって暗い小説とは思えない。
しかしみんなが主人公を見守っていて、最終的に主人公が精神的に大人になっていることから成長への温かい眼差しを感じられて、前向きになろうと思える作品だった。
小説というのは、読んだ人だけ解釈があるものだ。特にこの本は暗喩だらけなので、もっと解釈が分かれると思う。
だから勝手に若者へのエールを送る作品だとして受け取るし、勝手にこの本で勇気づけさせてもらおうと思う。
ガーデン
藤井風の2ndアルバムの中に収録されている「ガーデン」という曲が良い。
心に染みる包容力のある曲だ。万物流転のスピリッツを表している。例えばこんな歌詞、
「人は出会い別れ
失くしてはまた手に入れ
それでも守り続けたくて
私のガーデン果てるまで」
…こいつは何年生きてるんだ?20そこらでこんな達観した歌詞が書けるとは、前世の記憶持ちを疑ってしまう。
あと、一定のリズムで歌っているので歌詞が響いてきやすいのも神曲たる所以だろう。
1度聞いただけで、この辛い1年を支えてくれる曲だと直感的に分かった。
その次に流れる"damn"も好きだ。
アップテンポでだんだん盛り上がっていく感じがR&B?っていうのかしらん。とても良い。
あと、最後のサビだけ英語なのもずるい。めっちゃイカしてる。
「ロンリーラプソディ」って曲は、ぼっちの時に勇気づけられそうだなと思ったのでこれから積極的に利用していきたい。
Spotifyで全部無料で聴けるので、よかったら視聴してみてはどうだろうか。